『だが、情熱はある』を見始めたのをきっかけに、若林の最初のエッセイを読み返した。
このブログでも何回か書いてる通り、自分はかなり若林に影響を受けているし、なんならロールモデルみたいに思っているところがある。noteも有料で購読したりしてなかったりする。なんで若林が自分にとってそういう人間になったかわからないんだけど、たぶんこの本の影響も大きいと思う。単行本でも読んだんだけど、読んだのいつだっけと思って前のインスタを見返してたら10年前だった。めちゃくちゃいい本だった、という記憶はあるけど、細かい部分を一切覚えてなかったので、かなり新鮮な気持ちで読めた。
その中でも特に刺さったのが、『だが、情熱はある』の最新話でも描かれていた、黒ひげ危機一髪の話だった。
オードリーは下積み時代が長く、M-1でやった所謂「ズレ漫才」のかたちにたどり着くまで、かなり試行錯誤していた。それがドラマでも描かれていたアメフトの恰好でただぶつかるとか、春日がモヒカンになるとか、そういうやつ。そうしたいろいろな試行錯誤は、黒ひげ危機一髪で言うところの樽に刺す剣で、その剣を刺せば刺すほど、黒ひげが飛ぶ確率、つまり成功する確率が上がっている、というような話だった。
これがマジで自分の人生を振り返ってもそうだし、アイドルもそうだなと思った。
最近、アイドルはどうしたら成功する確率を上げられるかみたいなことをよく考えている。そしたら、ちょうど、たまあんがTikTokを始めてえげつないスピードでフォロワーを増やしていた。
2日前に載せたこれ100万回再生いってました😿💗㊗️気づいたら15000人にもなっててほんとにうれしい~😿💗 https://t.co/5QakbJY0yQ
— 環木あんず@Chick-flick 6/18(日)TIFメイン争奪 (@chick_anzu) 2023年5月8日
これとかマジで黒ひげ危機一髪だなと思った。たまあんはとにかく試行回数、つまり剣を刺す回数がめちゃくちゃ多い人だと思う。まずは試してみて、上手くいかなかったら次を試して、また上手くいかなかったら次を試して、みたいなのを日常的にやってる気がする。そういうことができるのは、広告代理店にいたり、セルフプロデュースしてたからというのもあるのかもしれない。で、その成功のひとつが、今回のTikTokなんじゃないかと。樽のいろんなところに剣を刺しまくって、それぞれでは黒ひげは飛ばなかったんだけど、それでも「その穴では飛ばない」ことはわかる。そうやって剣を刺すうちに、刺す穴は確実に減っていっていて、成功する確率は上っていって、TikTokという穴に剣を刺した瞬間ついに黒ひげが飛んだ。
「私は失敗したことがない。 うまくいかない1万通りの方法を発見しただけだ」ってエジソンが言ったらしいけど、これも全く同じ話だと思う。
そんなことを考えていたら、今日、みやぞんが「努力は実るのか?」について自分の考えを話している動画がバズっていた。
みやぞんが言うには、「苦労した努力は実らない。でも自分が楽しんだ努力は実る」ということだった。これもアイドルも本当にそうだなと思う。わかりやすいところだと、指原莉乃はブログで知名度を上げたけど、指原はアイドルになる前からブログを書いていた。つまり、アイドルになってから苦労して書いたわけじゃなくて、もともと書くことが好きだった。ぺろりん先生はイラストで有名になったけど、10年弱経ってでんぱ組に入った今でもイラスト書いてる。そんなのは、さすがに好きで楽しくないと続けられないと思う。もちろんたまあんもそうで、仮面ライダーが好きで、変身する動画を撮ることも好きなんだと思う(失敗した時はブチ切れてるけど)。
これの真逆なのが、好きでも得意でもないことを一回だけイヤイヤやって、剣を刺しても黒ひげ飛ばないじゃんって言って諦める、みたいなので、ほとんどの人がこれなんじゃないかと思う。
結局「自分が好きで得意なことを見つけて、それを誰かに見つかるまでいろんな方法で試し続ける」っていうのが、成功する唯一の方法なんじゃないかと思う。これはアイドルもそうだし、自分の人生振り返っても本当にそう。最近就活生とかに話聞かせてくださいって言われてキャリアの話するんだけど、結局はこれになる。で、自分が本当に好きで得意なことを見つけるためには、樽のいろんなところに剣を刺し続けるしかないんですよ。
ゆらねちゃんがジルラストに入ったのも、本当にこれだなと思ってて。もちろん声量がすごくなったし歌も上手くなったとか、ダンスも身体が動くようになってめちゃくちゃ踊れるようになっとか、わかりやすい成長もある。でも、それだけじゃなくて、じゅじゅとは全く違うタイプのグループに入ることによって、今後自分がどんなアイドルになっていくかを考えた時に、この穴に剣を刺してみたら、意外といい感じじゃない?とか、この穴に剣を刺してみたけど、次はここじゃないほうがよさそうだな、みたいなのがすごいあったんじゃないかと思ってる。たぶんこの一年間でめちゃくちゃ剣を刺したから。だから本当にジルラスト入ったのは正解だったと思うし、次にどんなことするのかがすごい楽しみ。
10年前にこの本読んだ時は、黒ひげ危機一髪の話が特に刺さった記憶は全くないんだけど、今この話がめちゃくちゃ刺さるということは、自分もちょっとは成長したのだろうか。